一昔前、繰延税金資産の計上が、自己資本をかさ上げするための「打ち出の小槌」のように言われた時代がありました。
当時の銀行はBIS規制をクリアーするために、税効果会計の「恩恵」を受けた経緯があります。事業会社でも繰延税金資産のおかげで債務超過を避けられている会社があります。
ご参考:日本政策投資銀行のレポート
このように、繰延税金資産の計上は、自己資本をかさ上げする結果になるため、資産計上できるための要件が細かく定められています。
繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い
ちなみに、海外では税制の違いから繰延税金負債になることが多いようです。
ここまではよく知られた話でして、上記は
会社「税効果(繰延税金資産)を5年分計上したい」
監査人「いや、3年分しか認められない」
といったやりとりにも関係してきます。
あくまでも貸借対照表の観点であり、過大な資産計上を防ぐ主旨であります。
ところが、
監査人「収益性が高いので5年分計上するのが理論的だ」
会社「いや、1年分にしたい」
というやりとりがなされることがあります。
監査人も、一瞬??と思うのですが、これは、経営者自身が収益の安定性に自信がないため、実に率直な主張をされている場合があります。
また、税効果は減損会計と並んで、「弱者に厳しい会計」(本業が厳しくなると取り崩しが要請されて、さらに損益状況が追い込まれる)であるため、保守的に考えている場合が多いと思います。
しかし、損益シミュレーションをしてみると、結果的に利益のかさ上げにつがることがわかります。
すなわち、5年分計上してしまえば、あとは毎年取り崩していくことになります。これが、税引後利益の圧縮要因になるのです。
しかし、1年分の計上であれば、前期に計上したものを取り崩して、翌期の分を計上することになるため、税引後利益に与える影響は相殺されます。
「できるだけ少なく計上したい」という主張がでてくる背景として、前掲の「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取り扱い」の書きぶりが「計上できる」「判断できる」という容認の記載になっていることが挙げられます。
いずれにしても、監査上は極めて悩ましい主張であります。
以前のエントリーでも書きましたが、上場準備会社において利益操作に見えてしまえば、なかなか難しい状況になると思います。
監査法人はもちろん、主幹事証券会社にも相談したうえで、相当慎重に判断していく必要がありそうです。
(それでは、また)
2008年04月07日
2008年03月27日
プロフェッショナル・サービス・ファーム
「プロフェッショナル・サービス・ファーム(原本はManaging Professional Service Firm)」
(デービッド・マイスター著)を久々に読み返しました。
以前、大手に勤めていたときには「ふむふむ」と読み流していたのに、「Independent」になってから読んでみると、含蓄のあるアドバイス満載で引き込まれます。
筆者はアメリカのビジネススクール(HBS)教授を経てコンサルタントになった方です。
ご自身がプロフェッショナル・サービス・ファームに関するコンサルタントとして活動している経験から、本書が生まれています。
プロフェッショナル・サービス(「個別受注型」で「クライアントとの直接的で強い相互作用がある」サービス)の提供者で、小手先のテクニック本にはどうしても抵抗感がある方、ぜひ一度手にとってみてください。
納得できた部分を一部引用します。
これは当たり前のようにみえて、実践できている人は極めて少ないと思います。自分の結論を押しつけようとする「プロ」がとても多いと感じます。
押しつけようとしてしまうのは、「自信」が背景にありますが、知識があるのはいわば当たり前であって、ニーズに合わせてどうやって関わっていくかが最も真価の問われるところです。
公認会計士の世界においても、3年くらいやって一通り知識がつくと何でも分かった気になる方もいるのですが、実はそこからがスタートだということを深く理解するかによって、その後が左右されているようです。
「クライアントと話ができないといけない」という言葉を別の意味に捉えてしまうと、信頼を得る以前に空回りしてしまいます。
そのほか、ファームの内部管理、クライアントの問題等々、仕事の進め方について、久々に共感できる本を読んだ気がしました。
(続きはまた)
(デービッド・マイスター著)を久々に読み返しました。
以前、大手に勤めていたときには「ふむふむ」と読み流していたのに、「Independent」になってから読んでみると、含蓄のあるアドバイス満載で引き込まれます。
筆者はアメリカのビジネススクール(HBS)教授を経てコンサルタントになった方です。
ご自身がプロフェッショナル・サービス・ファームに関するコンサルタントとして活動している経験から、本書が生まれています。
プロフェッショナル・サービス(「個別受注型」で「クライアントとの直接的で強い相互作用がある」サービス)の提供者で、小手先のテクニック本にはどうしても抵抗感がある方、ぜひ一度手にとってみてください。
納得できた部分を一部引用します。
| 技術的なスキルはキャリアを維持する最低限の条件だが、弁護士、公認会計士、コンサルタント、その他すべてのプロフェッショナルにおいて、これだけでキャリアを打ち立てている例は極めて少ない。 その少ない事例に該当する人々はグル、宇宙科学者、脳外科医であり、その競争者に比べてフロンティアにより近い位置にあると市場が認める人々である。圧倒的多数のプロフェッショナルは、これに加え、カウンセリング・スキルを身につけることで、クライアントにとって魅力的な存在になる。 つまり、クライアントの課題を解決し、何をなすべきか教えるだけでなく、クライアントがより深く理解するのを助けるがゆえに、プロフェッショナルはその価値を増すのである。 |
押しつけようとしてしまうのは、「自信」が背景にありますが、知識があるのはいわば当たり前であって、ニーズに合わせてどうやって関わっていくかが最も真価の問われるところです。
公認会計士の世界においても、3年くらいやって一通り知識がつくと何でも分かった気になる方もいるのですが、実はそこからがスタートだということを深く理解するかによって、その後が左右されているようです。
「クライアントと話ができないといけない」という言葉を別の意味に捉えてしまうと、信頼を得る以前に空回りしてしまいます。
そのほか、ファームの内部管理、クライアントの問題等々、仕事の進め方について、久々に共感できる本を読んだ気がしました。
(続きはまた)
2008年03月24日
役割定義が日本を強くする?
何年も前に、製薬会社の研究所で抗がん剤の研究をしている方から、次のお話を聞いたことがあります。
考えると、これは妙な感じを受けます。最終的な意思決定権は、経営者にあるはず。
もちろん、中断された研究を「自分の時間を使って密に続ける」ことで花開いた技術があることは、
「プロジェクトX」(NHK)などで紹介されていましたし、現場の方が感じ取っている可能性、というのはあるのだと思います。
それでも、上記の正面きって拒否するケースには違和感を感じざるを得ません。
理想をいえば、意欲的な研究者が集まっている組織では、仕事のうち一定割合は自分の好きな研究に使っていい、という制度が有効ではないかと。
この話を思い出しました。
(出所:「日本はなぜ敗れるのか」169頁 山本七平著)
もっと身近な例では、「私は話を聞いていない」といって非協力的になってしまう管理職など、みな、自分が主人であるかのように振る舞う自己主張の強さは、ときに強みを発揮します。しかし、弱点になる場合にはそれを予防する措置を考えておく必要がありそうです。
欧米のピラミッド組織がそれなりに機能しているのは、一神教の影響では、と勘繰ってしまいますが、それはよく分かりません。。
アメリカのアカウンティング・ファームとお仕事した方から、次の話を聞いたことがあります。
それぞれ別の方から聞いた話です。一般に想像されていることとずいぶん違うので驚いた記憶があります。
やるべきことがかなり明確な環境においては、皆が自分のこととして取り組むから、関係者全員の了解を取り付けることは有意義です。しかし、意見が分かれやすい環境においては、皆がバラバラの方向に走ってしまったら、何も力を発揮できずに全体が停滞してしまいそうです。
ある、著名な大学教授は、日本の大学は教授会の全員一致でないと決められないことが多いため、大学の国際競争力が低下しっぱなしなのに何も変わらない、と嘆いておられました。
話は飛んで、J-SOXでも役割定義が議論になることがあります。
会議体や部署、担当の権限と責任、役割を明確にする、ということです。
多くの会社では、「書きぶり、話しぶりで乗り切ろう。」とされていますが、定義づけとその浸透をうまくやれれば、
組織が強化されるのは間違いなさそうです。
今、「日本はなぜ停滞してしまったのか−日本経済がよみがる条件」(井原哲夫)を読んでおりまして、これが上記問題意識と共鳴してたいへん興味深いです。
皆様と共有したいことがでてきましたら、またご報告いたします。
(続きはまた)
| この研究を続行すべきか、中止すべきか。 続行すべきという研究所サイドと、中止すべきという経営サイドの対立が先鋭化し、 結局、研究所は、本社経営サイドの意向を蹴って、続行することになりました。 |
考えると、これは妙な感じを受けます。最終的な意思決定権は、経営者にあるはず。
もちろん、中断された研究を「自分の時間を使って密に続ける」ことで花開いた技術があることは、
「プロジェクトX」(NHK)などで紹介されていましたし、現場の方が感じ取っている可能性、というのはあるのだと思います。
それでも、上記の正面きって拒否するケースには違和感を感じざるを得ません。
理想をいえば、意欲的な研究者が集まっている組織では、仕事のうち一定割合は自分の好きな研究に使っていい、という制度が有効ではないかと。
この話を思い出しました。
| 大東亜戦で陸海が本当に信頼し合って協力したのはマレイ作戦までで、その後は加速度的に離反していったという。後には陸軍にも海軍ができ(陸軍で軍艦、潜水艦まで作った)、海軍は騎兵までできるようになった。そして陸海の国内に於ける戦争資材の争奪戦は、米国との戦いよりも激しかったという。これも敗戦の大きな原因だ。 |
もっと身近な例では、「私は話を聞いていない」といって非協力的になってしまう管理職など、みな、自分が主人であるかのように振る舞う自己主張の強さは、ときに強みを発揮します。しかし、弱点になる場合にはそれを予防する措置を考えておく必要がありそうです。
欧米のピラミッド組織がそれなりに機能しているのは、一神教の影響では、と勘繰ってしまいますが、それはよく分かりません。。
アメリカのアカウンティング・ファームとお仕事した方から、次の話を聞いたことがあります。
| 彼らは上司の○○から指示を受けると、前のめりで右に左に動いていて、見ていて気の毒だった。(これはその上司の性格かもしれませんが。。) |
| 今日、パートナー(共同経営者)の○○さんと飲みにいく、と話したら、腰を抜かして驚かれた。この若手はぴかぴかの幹部候補生ではないかと。 |
やるべきことがかなり明確な環境においては、皆が自分のこととして取り組むから、関係者全員の了解を取り付けることは有意義です。しかし、意見が分かれやすい環境においては、皆がバラバラの方向に走ってしまったら、何も力を発揮できずに全体が停滞してしまいそうです。
ある、著名な大学教授は、日本の大学は教授会の全員一致でないと決められないことが多いため、大学の国際競争力が低下しっぱなしなのに何も変わらない、と嘆いておられました。
話は飛んで、J-SOXでも役割定義が議論になることがあります。
会議体や部署、担当の権限と責任、役割を明確にする、ということです。
多くの会社では、「書きぶり、話しぶりで乗り切ろう。」とされていますが、定義づけとその浸透をうまくやれれば、
組織が強化されるのは間違いなさそうです。
今、「日本はなぜ停滞してしまったのか−日本経済がよみがる条件」(井原哲夫)を読んでおりまして、これが上記問題意識と共鳴してたいへん興味深いです。
皆様と共有したいことがでてきましたら、またご報告いたします。
(続きはまた)
2008年03月21日
ショートレビューにかかる費用(監査法人への報酬目安)
上場準備を始めて、その後監査法人が関わるとき、監査法人によるショートレビュー
(別名:予備調査、クイックレビュー)を受けます。
会社はショートレビュー報告書を指針として、内部管理体制を整備していくことになります。
最近は、監査法人を入れる前の段階で、別のところに同様の調査を依頼して
コツコツと体制整備をすすめている会社も増えてきました。
ショートレビューは、上場審査において提出を求められる資料でもあります。
このため、詳細に指摘してくれれば会社の将来に役立つのは確かですが、「あまり書きすぎると、これをクリアーしなければ上場審査に通りにくくなる」という根強い意見があることも確かです。
しかし、支援のプロとしては必要なことは指摘すべきでしょう。いい加減なことをやっていれば、最後には証券取引所の審査部門からの信頼を失いますから。
調査項目を例示しますと、次の通りです。会計を含んだ幅広い範囲にわたります。
【調査項目例】
経営組織の確立、経営計画・予算管理、関係会社・役員との関係整備、内部監査制度、社内規程の整備、会計制度・会計処理、販売管理、原価管理、在庫管理、資金・出納管理、固定資産管理、その他
私の経験では、現場は延べ12日くらい(4人×3日、あるいは3人×4日)、更にレポーティングや細かい詰めに同じくらいの日数をかけていました。そのくらいかけると、かなり有用な報告になります。
日数の変動要因は下記の通りです
1.会社規模
2.内部管理制度がどのくらいできているか。
このうち、2.については注意を要します。内部管理制度が無いほうが日数少なくて済みます。
制度があれば、それを仔細に見ることになるためです。
報酬額の変動要因は下記の通りです
1.営業的要素
2.関わる方の状況
ショートレビューは赤字でやっている場合が、過去にありました。
監査法人には、その後の継続監査で少しずつ取り戻そうという発想があります。
5年くらい前まで監査法人は営業熱心でしたから、特にそういう傾向がありました。
まともな報告書を作りたくても、「高い」と思われると業務依頼を受ける確率が下がるため、ディスカウントする要因が働きました。本当のところは、内容もそれなりになってしまうのですが。。
依頼を多く受ける方ほど普通に提示する傾向があるようです。
報酬事例
いろいろ挙げることは差し控えますが、、
ある会社では、過去にショートレビューを受けて数年後に上場延期。
しばらくして上場準備を再開したときに別のところにショートレビューを受けました。
昔のショートレビュー:100万円
最近のショートレビュー:300万円
と、大きな開きがあったので、昔の報告書を倉庫から探し出して並べたそうです。
結果、その会社の役員のお話では「昔の報告書は、別の会社の報告書を社名だけ入れ替えた一般論だけのもので、意味のないものだった」とのことです。
私が依頼者の立場になっても、「どこまでやってくれるか」「この報酬は内容に照らして適切か」は正直わかりにくいと思います。
どのくらいの日数をかけてくれるつもりなのか、どのクラスの方が担当されるのか、レポートの枚数のイメージ、
ヒアリングは社内の誰にしようと考えているのか、どのくらい社内書類もみてくれるか、あたりをさりげなく聞けば、少しは分かりそうです。
(それでは、また)
(別名:予備調査、クイックレビュー)を受けます。
会社はショートレビュー報告書を指針として、内部管理体制を整備していくことになります。
最近は、監査法人を入れる前の段階で、別のところに同様の調査を依頼して
コツコツと体制整備をすすめている会社も増えてきました。
ショートレビューは、上場審査において提出を求められる資料でもあります。
このため、詳細に指摘してくれれば会社の将来に役立つのは確かですが、「あまり書きすぎると、これをクリアーしなければ上場審査に通りにくくなる」という根強い意見があることも確かです。
しかし、支援のプロとしては必要なことは指摘すべきでしょう。いい加減なことをやっていれば、最後には証券取引所の審査部門からの信頼を失いますから。
調査項目を例示しますと、次の通りです。会計を含んだ幅広い範囲にわたります。
【調査項目例】
経営組織の確立、経営計画・予算管理、関係会社・役員との関係整備、内部監査制度、社内規程の整備、会計制度・会計処理、販売管理、原価管理、在庫管理、資金・出納管理、固定資産管理、その他
私の経験では、現場は延べ12日くらい(4人×3日、あるいは3人×4日)、更にレポーティングや細かい詰めに同じくらいの日数をかけていました。そのくらいかけると、かなり有用な報告になります。
日数の変動要因は下記の通りです
1.会社規模
2.内部管理制度がどのくらいできているか。
このうち、2.については注意を要します。内部管理制度が無いほうが日数少なくて済みます。
制度があれば、それを仔細に見ることになるためです。
報酬額の変動要因は下記の通りです
1.営業的要素
2.関わる方の状況
ショートレビューは赤字でやっている場合が、過去にありました。
監査法人には、その後の継続監査で少しずつ取り戻そうという発想があります。
5年くらい前まで監査法人は営業熱心でしたから、特にそういう傾向がありました。
まともな報告書を作りたくても、「高い」と思われると業務依頼を受ける確率が下がるため、ディスカウントする要因が働きました。本当のところは、内容もそれなりになってしまうのですが。。
依頼を多く受ける方ほど普通に提示する傾向があるようです。
報酬事例
いろいろ挙げることは差し控えますが、、
ある会社では、過去にショートレビューを受けて数年後に上場延期。
しばらくして上場準備を再開したときに別のところにショートレビューを受けました。
昔のショートレビュー:100万円
最近のショートレビュー:300万円
と、大きな開きがあったので、昔の報告書を倉庫から探し出して並べたそうです。
結果、その会社の役員のお話では「昔の報告書は、別の会社の報告書を社名だけ入れ替えた一般論だけのもので、意味のないものだった」とのことです。
私が依頼者の立場になっても、「どこまでやってくれるか」「この報酬は内容に照らして適切か」は正直わかりにくいと思います。
どのくらいの日数をかけてくれるつもりなのか、どのクラスの方が担当されるのか、レポートの枚数のイメージ、
ヒアリングは社内の誰にしようと考えているのか、どのくらい社内書類もみてくれるか、あたりをさりげなく聞けば、少しは分かりそうです。
(それでは、また)
2008年03月19日
利益率の高いビジネス
上場準備の実務的なエントリーが続きました。
今回は「起業」カテゴリで、「利益率の高いビジネスにはどういう特徴があるか」を、
自分が実際に見た範囲から考えてみたいと思います。
今まで関わった会社の中で、不況の中でも非常に儲かっている会社が5社くらいあります。
売上規模は数十億円〜数千億円まで様々ですが、接する度に、
「どうしてこんなに利益がでているのだろう」という問題意識を持ちました。
何年もお付き合いする中で、会社の方にお聞きしたこともありますし、自分でも気づいたこともあります。
それらの特徴を、かなり一般化して記載します。
シンプルな会社が多い
自社の強みを生かした新製品、新サービスは意欲的に開発していますが、
最初から大規模にはやっていないようです。
うまくいったものだけ拡大して、うまくいかないものはすぐに撤退していました。
プロジェクト別採算や部門別採算の資料など、あっけないほどシンプルで理解しやすい会社がほとんどでした。
値下げ競争に巻き込まれにくい
どんなに良いサービスをしていても、相見積もりをとられれば、(当たり前ですが)利益が細っていきます。
値下げ競争に巻き込まれにくいことは、利益を確保するうえで、大変重要だといわれます。
非常に儲かっている会社で、値下げ競争の話をあまり聞いたことがないです。
私の直接接した範囲では、次の優位性が、「ほぼ定価販売」「言い値販売」を可能にしていました。
1.許認可上の独占・寡占に基づくビジネス
これは、なかなか真似できないと思います。
2.市場が外からは見えないビジネス
大企業相手に直接営業をかけて販売しており、その大企業の製品に組み込まれて販売されるため、
類似の技術を持ちうる人たちに市場の存在が分かりづらい。これが参入障壁になっているようです。
3.価格が妥当と思われやすい製品
たとえば書籍は、ほぼ相場があり、値崩れするとは思えません。
ソフトウェアでも、「ま、このくらいの値段なら安心感のあるほうがいいや」ということで、
長年販売されている製品を選ぶ傾向があると思います。
複製が簡単でコストが安い
媒体がDVD、CD-ROM、紙であれば、複製コストは安いし、在庫調整も比較的容易です。
中核となるプログラムやコンテンツ開発に注力している
たとえば、データベースをひたすら作っている会社があります。
その一部を切り売りしている訳ですが、無断複製を避けるために問題の起きないところにわざと
バグを入れるなどして、その保護を徹底しています。
データベースやプログラムなど、「知恵」の部分への思い入れはすごいものを感じました。
保守管理料が安定収入になっている場合がある
一度売ってから、年間保守契約をすることで、その収益が積みあがっている会社があります。
政令などが頻繁に出される業界で、その変化に対応するための保守ですと、
加入率が高くなるようです。
コーディネートに徹している場合がある
「この会社はこれを作っている」と思って、いざ関わってみると、何も作っておらず驚くことがあります。
外部会社でやれる(やらせていい)部分は作業別に分解して外注しているのです。コーディネートする人員だけが社員だったりします。
優良な外注先を探してリスト化していることが、収益の源泉になっているようです。
内製化しなければ身軽だし、相見積もりをとれる、というのがあるようです。
いろいろ書きましたが、
「収益の源泉となるものを知恵を絞ってひたすら開発し続ける」
「外部協力者の組織化」の要素が重要だと感じました。
あとは、「複製コストの安いものでビジネスが成り立つ時代」が起業への参入障壁を下げているようです。
(それでは、また)
今回は「起業」カテゴリで、「利益率の高いビジネスにはどういう特徴があるか」を、
自分が実際に見た範囲から考えてみたいと思います。
今まで関わった会社の中で、不況の中でも非常に儲かっている会社が5社くらいあります。
売上規模は数十億円〜数千億円まで様々ですが、接する度に、
「どうしてこんなに利益がでているのだろう」という問題意識を持ちました。
何年もお付き合いする中で、会社の方にお聞きしたこともありますし、自分でも気づいたこともあります。
それらの特徴を、かなり一般化して記載します。
シンプルな会社が多い
自社の強みを生かした新製品、新サービスは意欲的に開発していますが、
最初から大規模にはやっていないようです。
うまくいったものだけ拡大して、うまくいかないものはすぐに撤退していました。
プロジェクト別採算や部門別採算の資料など、あっけないほどシンプルで理解しやすい会社がほとんどでした。
値下げ競争に巻き込まれにくい
どんなに良いサービスをしていても、相見積もりをとられれば、(当たり前ですが)利益が細っていきます。
値下げ競争に巻き込まれにくいことは、利益を確保するうえで、大変重要だといわれます。
非常に儲かっている会社で、値下げ競争の話をあまり聞いたことがないです。
私の直接接した範囲では、次の優位性が、「ほぼ定価販売」「言い値販売」を可能にしていました。
1.許認可上の独占・寡占に基づくビジネス
これは、なかなか真似できないと思います。
2.市場が外からは見えないビジネス
大企業相手に直接営業をかけて販売しており、その大企業の製品に組み込まれて販売されるため、
類似の技術を持ちうる人たちに市場の存在が分かりづらい。これが参入障壁になっているようです。
3.価格が妥当と思われやすい製品
たとえば書籍は、ほぼ相場があり、値崩れするとは思えません。
ソフトウェアでも、「ま、このくらいの値段なら安心感のあるほうがいいや」ということで、
長年販売されている製品を選ぶ傾向があると思います。
複製が簡単でコストが安い
媒体がDVD、CD-ROM、紙であれば、複製コストは安いし、在庫調整も比較的容易です。
中核となるプログラムやコンテンツ開発に注力している
たとえば、データベースをひたすら作っている会社があります。
その一部を切り売りしている訳ですが、無断複製を避けるために問題の起きないところにわざと
バグを入れるなどして、その保護を徹底しています。
データベースやプログラムなど、「知恵」の部分への思い入れはすごいものを感じました。
保守管理料が安定収入になっている場合がある
一度売ってから、年間保守契約をすることで、その収益が積みあがっている会社があります。
政令などが頻繁に出される業界で、その変化に対応するための保守ですと、
加入率が高くなるようです。
コーディネートに徹している場合がある
「この会社はこれを作っている」と思って、いざ関わってみると、何も作っておらず驚くことがあります。
外部会社でやれる(やらせていい)部分は作業別に分解して外注しているのです。コーディネートする人員だけが社員だったりします。
優良な外注先を探してリスト化していることが、収益の源泉になっているようです。
内製化しなければ身軽だし、相見積もりをとれる、というのがあるようです。
いろいろ書きましたが、
「収益の源泉となるものを知恵を絞ってひたすら開発し続ける」
「外部協力者の組織化」の要素が重要だと感じました。
あとは、「複製コストの安いものでビジネスが成り立つ時代」が起業への参入障壁を下げているようです。
(それでは、また)
2008年03月18日
2年+αの最短距離で上場できるか?
ほとんどの会社が「最短距離で上場したい」とお話されます。
最短距離というのは、おおむね2年+αが想定されています。
2年というのは、上場直前期+直前々期です。この2期間は原則として監査法人の監査証明が必要であるためです。
しかし、実際には、最短距離で上場できている会社はそう多くはありません。
上場準備が長くなってしまう原因を並べてみます。
業績が思ったように伸びない
これは最も多い事例かと思います。
上場直前々期の期首残高に信頼性が確保できない
監査期間の期首残高の信頼性が高くないと、その期の決算が正しく作れません。
その期首残高(試算表ベースで良い)が正しく作れない原因として、次のものが経験上多いと思います。
1.売掛金管理
総額消し込みをしている。本来は個別消し込みによる必要があります。
期首日付で残高確認状を得意先に発送した場合に、その回答額がどうなるか、
また、差異原因が詰められるか、ということでもあります。
2.棚卸資産管理
帳簿棚卸数と実地棚卸数があまりにもかい離がある。
現物管理がうまくいっていないと、監査法人も監査を受託しない可能性が高くなります。
3.引当金関係
貸倒引当金、返品調整引当金など、過去の実績を参考にして計算する項目について、
過去データをうまく拾えない会社が結構あります。
ビジネス上の問題を解決できない
株式上場のために、ビジネスの形態を変えなければならないことがあります。
相手があることなので、折衝に時間がかかり、上場が延びてしまいがちです。
たとえば、次の事例がありました。
1.ライセンス期間
海外の技術を使っている会社で、ライセンスの契約期間が10年という会社がありました。
10年経ったら契約更新されない可能性もあり、投資家にとってはリスクだと言われていました。
結局、20年に契約変更したら、上場がOKになりました。
2.オーナー個人との関係
オーナーが別の会社をやっていて上場準備会社と競業している会社がありました。
この場合、上場後に良い仕事をオーナーの個人会社に回すことがあれば、投資家が損してしまいます。
解決策としては、オーナーがどちらかの会社を手放すか、個人会社をたたむことですが、
結局、「そこまでして上場するつもりはない」という結論になりました。
3.本業と関係ない資産
上場することと○○を買うのがオーナー経営者の夢でした。
先に○○を買ったのですが、会社で買ってしまい、それが大変な含み損になったため、
上場が大幅に伸びてしまいました。
本業は素晴らしい業績をあげているのですが、監査法人や証券会社が関わったころには、
既に問題を抱えてしまっており、もったいない時間が過ぎてしまいました。
(気になることがあれば、気軽にコメント欄などでご相談ください)
最短距離というのは、おおむね2年+αが想定されています。
2年というのは、上場直前期+直前々期です。この2期間は原則として監査法人の監査証明が必要であるためです。
しかし、実際には、最短距離で上場できている会社はそう多くはありません。
上場準備が長くなってしまう原因を並べてみます。
業績が思ったように伸びない
これは最も多い事例かと思います。
上場直前々期の期首残高に信頼性が確保できない
監査期間の期首残高の信頼性が高くないと、その期の決算が正しく作れません。
その期首残高(試算表ベースで良い)が正しく作れない原因として、次のものが経験上多いと思います。
1.売掛金管理
総額消し込みをしている。本来は個別消し込みによる必要があります。
期首日付で残高確認状を得意先に発送した場合に、その回答額がどうなるか、
また、差異原因が詰められるか、ということでもあります。
2.棚卸資産管理
帳簿棚卸数と実地棚卸数があまりにもかい離がある。
現物管理がうまくいっていないと、監査法人も監査を受託しない可能性が高くなります。
3.引当金関係
貸倒引当金、返品調整引当金など、過去の実績を参考にして計算する項目について、
過去データをうまく拾えない会社が結構あります。
ビジネス上の問題を解決できない
株式上場のために、ビジネスの形態を変えなければならないことがあります。
相手があることなので、折衝に時間がかかり、上場が延びてしまいがちです。
たとえば、次の事例がありました。
1.ライセンス期間
海外の技術を使っている会社で、ライセンスの契約期間が10年という会社がありました。
10年経ったら契約更新されない可能性もあり、投資家にとってはリスクだと言われていました。
結局、20年に契約変更したら、上場がOKになりました。
2.オーナー個人との関係
オーナーが別の会社をやっていて上場準備会社と競業している会社がありました。
この場合、上場後に良い仕事をオーナーの個人会社に回すことがあれば、投資家が損してしまいます。
解決策としては、オーナーがどちらかの会社を手放すか、個人会社をたたむことですが、
結局、「そこまでして上場するつもりはない」という結論になりました。
3.本業と関係ない資産
上場することと○○を買うのがオーナー経営者の夢でした。
先に○○を買ったのですが、会社で買ってしまい、それが大変な含み損になったため、
上場が大幅に伸びてしまいました。
本業は素晴らしい業績をあげているのですが、監査法人や証券会社が関わったころには、
既に問題を抱えてしまっており、もったいない時間が過ぎてしまいました。
(気になることがあれば、気軽にコメント欄などでご相談ください)
2008年03月17日
ぎりぎりの会計処理と変則スキーム
会社経営に関わっていると、どうしても
「自分の会社を良く見せたい」という気持ちが働きます。
また、ファイナンスや会計、リーガルも分かってくると、
「知識を駆使して誰もやっていないストラクチャーをやりたい」
という気持ちが芽生えます。
私自身も事業承継やM&Aに関わっていたときに、そういう気持ちを持ちました。
もちろん、新しいやり方を開発してリスク・リターンをコントロールするのは望ましいことですが、
時に、命取りになるため、各方面への影響を詳細に検討する必要があります。検討不足のまま進められている例が意外に多いです。
私の知りうる範囲でも、望ましくない結果になった事例は相当数にのぼります。
具体的に書くことはできませんが、、
監査法人が契約更新に応じない例
グレーゾーンの会計処理をされると、監査法人としてもリスクが高まります。
提携先の海外事務所や監督官庁、世論も今は厳しいですから、
監査契約を更新しない例がでてきました。
監査法人は本来は不特定多数の投資家のために働いていることを、考慮しておくべきです。
・ぎりぎりの会計処理を追求しない。管理部門を重視する。
・監査法人が赤字になるような報酬をごり押ししようとしない。
・普通の監査対応をおこなう。
さえ続ければ、監査契約を更新されない(次も決まらない)、ということは滅多にないと思います。
監査法人が決まらない例
これから監査法人を探すベンチャー企業にとっては、監査人を探すのはなかなか難しいです。
背景には、監査法人における人手不足があります。
私の知る限り、これを乗り越えた事例では、「監査法人OBのツテを活用」しています。
内部に信頼のありそうな方を頼ってみると、意外にうまくいくようです。
その場合でも、ぎりぎりの会計処理をやっていると、まったく受けてくれないため、真面目に地道に経理をやっておく必要があります。
「主幹事証券会社にはしごを外された」例
ときどき「主幹事証券にはしごを外された」と言う会社があります。
しかし、よくよく聞いてみると、元々ビジネスの組み立てに問題があったり、ぎりぎりの会計処理を追求していたり、何らかの問題があることがほとんどです。
証券会社にも引受部門と審査部門があり、普段は引受部門がコンサルティングをしていますが、審査部門が難色を示すと、こういった事態になります。
調子のいいことだけ並べる支援者は、本当に信頼して良いか、一度は考えてみるべきでしょう。
初期の段階から悪い可能性をつぶさに観察して指摘してくれるのが、真のプロフェッショナルだと思います。
そうすれば、ほとんどの問題は対応可能です。
営業中心でやっている方はついつい相手に心地よいことを並べる傾向があります。
それを好む依頼者が多いのも事実だと思います。
また、信頼感を演出しようとする方もいますから、会社の実情を話して、相手が何を話してくれるをみるのが一番です。
また、会計処理やスキームの是非を考える場合には、それを評価する立場のひと(監査法人の審査部門、主幹事証券会社の審査部門、取引所の審査部門、監督官庁、世論、、、)がそれを歓迎するかどうか、を考えてみるのが基本だと思います。
あまりぎりぎりのことをやっていると、たとえば、監督官庁の考え方が変われば、玉突きで解釈が変わって、自社に影響が及ばないとも限りません。
会社の実態を見えづらくしてしまう会計処理やスキームの採用には、特に慎重であるべきでしょう。
「自分の会社を良く見せたい」という気持ちが働きます。
また、ファイナンスや会計、リーガルも分かってくると、
「知識を駆使して誰もやっていないストラクチャーをやりたい」
という気持ちが芽生えます。
私自身も事業承継やM&Aに関わっていたときに、そういう気持ちを持ちました。
もちろん、新しいやり方を開発してリスク・リターンをコントロールするのは望ましいことですが、
時に、命取りになるため、各方面への影響を詳細に検討する必要があります。検討不足のまま進められている例が意外に多いです。
私の知りうる範囲でも、望ましくない結果になった事例は相当数にのぼります。
具体的に書くことはできませんが、、
監査法人が契約更新に応じない例
グレーゾーンの会計処理をされると、監査法人としてもリスクが高まります。
提携先の海外事務所や監督官庁、世論も今は厳しいですから、
監査契約を更新しない例がでてきました。
監査法人は本来は不特定多数の投資家のために働いていることを、考慮しておくべきです。
・ぎりぎりの会計処理を追求しない。管理部門を重視する。
・監査法人が赤字になるような報酬をごり押ししようとしない。
・普通の監査対応をおこなう。
さえ続ければ、監査契約を更新されない(次も決まらない)、ということは滅多にないと思います。
監査法人が決まらない例
これから監査法人を探すベンチャー企業にとっては、監査人を探すのはなかなか難しいです。
背景には、監査法人における人手不足があります。
私の知る限り、これを乗り越えた事例では、「監査法人OBのツテを活用」しています。
内部に信頼のありそうな方を頼ってみると、意外にうまくいくようです。
その場合でも、ぎりぎりの会計処理をやっていると、まったく受けてくれないため、真面目に地道に経理をやっておく必要があります。
「主幹事証券会社にはしごを外された」例
ときどき「主幹事証券にはしごを外された」と言う会社があります。
しかし、よくよく聞いてみると、元々ビジネスの組み立てに問題があったり、ぎりぎりの会計処理を追求していたり、何らかの問題があることがほとんどです。
証券会社にも引受部門と審査部門があり、普段は引受部門がコンサルティングをしていますが、審査部門が難色を示すと、こういった事態になります。
調子のいいことだけ並べる支援者は、本当に信頼して良いか、一度は考えてみるべきでしょう。
初期の段階から悪い可能性をつぶさに観察して指摘してくれるのが、真のプロフェッショナルだと思います。
そうすれば、ほとんどの問題は対応可能です。
営業中心でやっている方はついつい相手に心地よいことを並べる傾向があります。
それを好む依頼者が多いのも事実だと思います。
また、信頼感を演出しようとする方もいますから、会社の実情を話して、相手が何を話してくれるをみるのが一番です。
また、会計処理やスキームの是非を考える場合には、それを評価する立場のひと(監査法人の審査部門、主幹事証券会社の審査部門、取引所の審査部門、監督官庁、世論、、、)がそれを歓迎するかどうか、を考えてみるのが基本だと思います。
あまりぎりぎりのことをやっていると、たとえば、監督官庁の考え方が変われば、玉突きで解釈が変わって、自社に影響が及ばないとも限りません。
会社の実態を見えづらくしてしまう会計処理やスキームの採用には、特に慎重であるべきでしょう。
2008年03月14日
新規上場数と上場廃止数の推移
ライブドアショック(2006年1月)以降、上場審査基準が厳しくなったという話があります。
上場審査において「監査役はどのくらい仕事をしているのか」と質問されて回答に窮した結果、
上場申請を取り下げた、という話をよく聞くようになりました。
残業代の不払いも大きな問題になります。
また、反社会的勢力とのつながりや会計・内部統制、法令遵守に不安な面があれば、なかなか上場できないという話も現実のものになりました。
では、実際に上場数は減少しているのでしょうか。
もちろん、市況によって上場を見送る会社もありますから、これだけで上場審査の厳しさは分かりません。
ひとつの参考にはなります。
新規上場数の推移
(出所:「世界に飛躍するベンチャー企業創出を目指して」レジュメ)
これをみますと、一時期「どんどん上場してください」という風潮があったのが、元に戻ったように見えます。
それでも、小泉政権時代のブレーン(現大学教授)が「日本は月10社も上場できているが、国際水準並みに厳しくすべきだ」と一昨年に発言されていたことなどから、更に厳しくなるかも。
今後は、上場以外のEXITも盛んになってくると思います。
ちなみに上場廃止数はどうでしょうか。
法令違反等による市場退出の状況
上場廃止企業に占める監査意見不表明、虚偽記載、公益・投資家保護、上場契約違反で上場廃止となった企業数の推移
(出所:カブドットコムHP、各証券取引所HPより経済産業省作成)
この数字をみる限り、法令違反等による上場廃止は増えているけれども、ライブドアショックとは無関係に厳しくなっているようです。
(続きはまた)
上場審査において「監査役はどのくらい仕事をしているのか」と質問されて回答に窮した結果、
上場申請を取り下げた、という話をよく聞くようになりました。
残業代の不払いも大きな問題になります。
また、反社会的勢力とのつながりや会計・内部統制、法令遵守に不安な面があれば、なかなか上場できないという話も現実のものになりました。
では、実際に上場数は減少しているのでしょうか。
もちろん、市況によって上場を見送る会社もありますから、これだけで上場審査の厳しさは分かりません。
ひとつの参考にはなります。
新規上場数の推移
(出所:「世界に飛躍するベンチャー企業創出を目指して」レジュメ)
| 市場、年 | 96 | 97 | 98 | 99 | 00 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 |
| 取引所上場 | 53 | 39 | 24 | 32 | 37 | 21 | 24 | 20 | 25 | 35 | 54 | 24 |
| マザーズ | 2 | 27 | 7 | 8 | 32 | 55 | 35 | 41 | 23 | |||
| ヘラクレス | 33 | 43 | 24 | 7 | 23 | 22 | 37 | 25 | ||||
| ジャスダック | 114 | 105 | 63 | 73 | 97 | 97 | 68 | 62 | 72 | 65 | 56 | 49 |
| 合 計 | 167 | 144 | 86 | 107 | 204 | 169 | 124 | 121 | 175 | 158 | 188 | 121 |
これをみますと、一時期「どんどん上場してください」という風潮があったのが、元に戻ったように見えます。
それでも、小泉政権時代のブレーン(現大学教授)が「日本は月10社も上場できているが、国際水準並みに厳しくすべきだ」と一昨年に発言されていたことなどから、更に厳しくなるかも。
今後は、上場以外のEXITも盛んになってくると思います。
ちなみに上場廃止数はどうでしょうか。
法令違反等による市場退出の状況
上場廃止企業に占める監査意見不表明、虚偽記載、公益・投資家保護、上場契約違反で上場廃止となった企業数の推移
(出所:カブドットコムHP、各証券取引所HPより経済産業省作成)
| 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | |
| 上場廃止数 | 99 | 90 | 97 | 85 | 96 |
| (うち、上記理由による上場廃止数) | 0 | 4 | 8 | 3 | 5 |
| 新興市場における上場廃止数 | 18 | 33 | 32 | 32 | 35 |
| (うち、上記理由による上場廃止数) | 0 | 0 | 4 | 3 | 4 |
この数字をみる限り、法令違反等による上場廃止は増えているけれども、ライブドアショックとは無関係に厳しくなっているようです。
(続きはまた)
2008年03月13日
マン・インベストメンツのヘッジファンドセミナーにいってきました
マン・インベストメンツ日本法人の社長をお迎えしてのセミナーにいってきました。
マン社では「AHL・エンハンスト・ストラテジー償還時元本確保型ファンド」の募集をしており
(今は締め切っていると思います)、その説明もふくめ、ヘッジファンドの仕組みを詳しく説明してくださいました。
中でも参考になった話をいくつか。
長期的にみれば、円安にすすむ
ヘッジファンドがドル建てであるため、円高に向かえば不利ではないか、という質問が多くなされました。
この質問に関して、確かに今は円高傾向にありますが、次のことを考えれば、長期的にはどう考えても円安に向かうという結論にならざるをえない、というお話がありました。
1.日本の人口が減少する。
2.日本経済の世界における割合が低下する。
→ 円の需要が減少していく。
運用のプロは「年率標準偏差」を必ずチェックする
私たちはどうしても過去の収益率にばかり目がいきますが、「年率標準偏差」もたいへん重要な指標です。
どのくらい運用成績がぶれるのかを示す指標でして、
低ければ安定していることを示しています。
この数字を低く抑えつつ運用成績が高い、というのがアピールのひとつになっているようでした。
(出所:マン・AHL・ストラテジーズ償還時元本確保型ファンド2 販売用資料)
ヘッジファンドは多種多様
一言でヘッジファンドといっても、運用の中身が違うし、運用ポリシーも、リスクを抑えた安定収益型から、リスクを負って高い収益をあげようとするものまで多種多様だというお話が強調されました。
「ヘッジファンドが儲かる」とはいっても、今回のサブプライム問題で損をだしているものもかなりあります。
マン社の別のヘッジファンドの運用成績
損のほうが益よりも強い
これは頭の体操ですが、、、
年20%減って、次の年は20%増えて、その次の年は20%減って、、という運用をしていくと、計算してみれば分かりますが、資産が目減りしていきます。
20%減ったら、25%増えないと取り戻せないんです(逆数の計算)。
(最後はちょっとだけトリビアでした)
追伸:マン・インベストメンツのヘッジファンドは三菱UFJ証券で買えますが、それ以外のヘッジファンドで日本の証券会社で買えるもの(売買単位が高くないもの)をご存知でしたら教えてください。海外口座をつくるのは面倒そうなので。。
マン社では「AHL・エンハンスト・ストラテジー償還時元本確保型ファンド」の募集をしており
(今は締め切っていると思います)、その説明もふくめ、ヘッジファンドの仕組みを詳しく説明してくださいました。
中でも参考になった話をいくつか。
長期的にみれば、円安にすすむ
ヘッジファンドがドル建てであるため、円高に向かえば不利ではないか、という質問が多くなされました。
この質問に関して、確かに今は円高傾向にありますが、次のことを考えれば、長期的にはどう考えても円安に向かうという結論にならざるをえない、というお話がありました。
1.日本の人口が減少する。
2.日本経済の世界における割合が低下する。
→ 円の需要が減少していく。
運用のプロは「年率標準偏差」を必ずチェックする
私たちはどうしても過去の収益率にばかり目がいきますが、「年率標準偏差」もたいへん重要な指標です。
どのくらい運用成績がぶれるのかを示す指標でして、
低ければ安定していることを示しています。
この数字を低く抑えつつ運用成績が高い、というのがアピールのひとつになっているようでした。
(出所:マン・AHL・ストラテジーズ償還時元本確保型ファンド2 販売用資料)
| AHLインスティテューショナル・プログラム | 世界株式 | 世界債券 | |
| 総合収益率 | 580.5% | 151.4% | 115.8% |
| 年率複利収益率 | 17.2% | 7.9% | 6.6% |
| 年率標準偏差 | 14.0% | 13.6% | 2.8% |
| 最大下落率 | -11.5% | -47.9% | -2.7% |
| シャープレシオ | 0.90 | 0.32 | 0.77 |
ヘッジファンドは多種多様
一言でヘッジファンドといっても、運用の中身が違うし、運用ポリシーも、リスクを抑えた安定収益型から、リスクを負って高い収益をあげようとするものまで多種多様だというお話が強調されました。
「ヘッジファンドが儲かる」とはいっても、今回のサブプライム問題で損をだしているものもかなりあります。
マン社の別のヘッジファンドの運用成績
損のほうが益よりも強い
これは頭の体操ですが、、、
年20%減って、次の年は20%増えて、その次の年は20%減って、、という運用をしていくと、計算してみれば分かりますが、資産が目減りしていきます。
20%減ったら、25%増えないと取り戻せないんです(逆数の計算)。
(最後はちょっとだけトリビアでした)
追伸:マン・インベストメンツのヘッジファンドは三菱UFJ証券で買えますが、それ以外のヘッジファンドで日本の証券会社で買えるもの(売買単位が高くないもの)をご存知でしたら教えてください。海外口座をつくるのは面倒そうなので。。
2008年03月12日
「世界に飛躍するベンチャー企業創出を目指して」シンポジウムにいってきました
経済産業省と日本ベンチャー学会主催のシンポジウムにいってきました。
場所は秋葉原UDX。数百人は入りそうなセミナールームは満席。
支援者の方、ベンチャー企業の経営者、学生などがいらっしゃったようです。すごい熱気した。
その中で、役立ちそうな情報と、話のネタをいくつか。
エンジェル税制の改正(平成20年4月1日〜)
かつてのエンジェル税制はほとんど使われていませんでした。
今回は、ベンチャー企業に出資した個人が出資時に税金減免を受けられる、という画期的な制度です。
ここまでの優遇は、欧米でも例がないとのことでした(北城恪太郎氏:日本IBM最高顧問)。
詳しくは http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/main_04.html
エンジェルによる投資は、年額で米国3兆円、英国1000億円、日本20億円というデータがあります。
これでは、いくら起業ネタがよくても育たないだろう、ということで設されました。
日本で毎年競馬に投資されるのが3兆(JRAの売上規模)なんだそうで、その一部でも資金が回ってくれるとありがたい、とおっしゃっていました。
起業家や新しいベンチャー企業の近所に住む人たちが、少しずつお金を出して支援する、といった循環ができあがるのを期待しているようです(松田修一氏:早稲田大学ビジネススクール教授)。
ベンチャーを始めようとする方には、地域コミュニティを活用して資金を集めるチャンスがうまれました。
ジャスダックNEO市場
平成19年8月13日、ジャスダックにNEO市場が創設されました。 今までに3社上場しています。
そのデータを記載します。やっぱり新しめな会社が多いですね。
海外に出ても通用しそうなテクノロジーをする会社ばかりとのことでした (筒井高志氏:ジャスダック証券取引所CEO)。
(出所:ジャスダック作成資料)
IPO至上主義からの脱却
ベンチャー投資者側において、何が何でもIPO(株式上場)という風潮がありますが、れでは市況や上場審査基準の変動に左右されやすいという問題提起があるようです。
今後は、未公開企業のM&Aをすすめやすくする環境が整えられていくようです。
(続きはまた)
場所は秋葉原UDX。数百人は入りそうなセミナールームは満席。
支援者の方、ベンチャー企業の経営者、学生などがいらっしゃったようです。すごい熱気した。
その中で、役立ちそうな情報と、話のネタをいくつか。
エンジェル税制の改正(平成20年4月1日〜)
かつてのエンジェル税制はほとんど使われていませんでした。
今回は、ベンチャー企業に出資した個人が出資時に税金減免を受けられる、という画期的な制度です。
ここまでの優遇は、欧米でも例がないとのことでした(北城恪太郎氏:日本IBM最高顧問)。
詳しくは http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/main_04.html
エンジェルによる投資は、年額で米国3兆円、英国1000億円、日本20億円というデータがあります。
これでは、いくら起業ネタがよくても育たないだろう、ということで設されました。
日本で毎年競馬に投資されるのが3兆(JRAの売上規模)なんだそうで、その一部でも資金が回ってくれるとありがたい、とおっしゃっていました。
起業家や新しいベンチャー企業の近所に住む人たちが、少しずつお金を出して支援する、といった循環ができあがるのを期待しているようです(松田修一氏:早稲田大学ビジネススクール教授)。
ベンチャーを始めようとする方には、地域コミュニティを活用して資金を集めるチャンスがうまれました。
ジャスダックNEO市場
平成19年8月13日、ジャスダックにNEO市場が創設されました。 今までに3社上場しています。
そのデータを記載します。やっぱり新しめな会社が多いですね。
海外に出ても通用しそうなテクノロジーをする会社ばかりとのことでした (筒井高志氏:ジャスダック証券取引所CEO)。
(出所:ジャスダック作成資料)
| 会社名 | 潟ビキタス | 潟Eェブマネー | 潟Wャパン・ティッシュ・エンジニアリング |
| 推薦証券 | 野村 | 大SMBC | 野村 |
| 売買開始日 | 2007/11/13 | 2007/12/6 | 2007/12/21 |
| 上場時発行済株式数 | 83,500 | 53,600 | 33,180 |
| 公開株式数(公募) | 5,500 | 4,000 | 25,000 |
| 公開株式数(売出) | 4,005 | 5,200 | 8,180 |
| 仮条件(円) | 90,000〜100,000 | 85,000〜100,000 | 100,000〜120,000 |
| 引受価額 | 92,500 | 92,000 | 110,400 |
| 公開価格 | 100,000 | 100,000 | 120,000 |
| 初値 | 400,000 | 350,000 | 96,000 |
IPO至上主義からの脱却
ベンチャー投資者側において、何が何でもIPO(株式上場)という風潮がありますが、れでは市況や上場審査基準の変動に左右されやすいという問題提起があるようです。
今後は、未公開企業のM&Aをすすめやすくする環境が整えられていくようです。
(続きはまた)

